ossaj.org 特定非営利活動法人 オープンソースソフトウェア協会 Open Source Software Association of Japan

オープンソースソフトウェア協会は、オープンソースのソフトウェア利用情報を会員間で共有することを意図している「利用者の団体」です。

OSSAJ をもっとよく知っていただくために

この文章は OSSAJ 設立の準備段階に発起人の間で交わされたメールの一部の抜粋です。ここから当協会の目指すところなどを感じ取っていただければ、との思いから掲載しました。


ただわたしはこんな風に考えています。「あまい」とのご批判は受けねばならないでしょうが。

  1. 前のメイルでも書きましたが、この団体にご参加いただくかたは、「奉仕」の精神をお持ちのかたがたであると、勝手に決めています。

  2. このことはどういうことかと言うと、「奉仕活動」の一環として、現存する「オープンソースのソフトウェア」を調べたり、それを利用したりしたときに、のちのち利用するかたへの便宜のための情報をこの団体のDBに残してくれる、というようなことを意味しています。

  3. それでは「あとから利用するかたは一方的に得をするだけだ」ということになりますが、極論するとそれでいい、と思っています。しかし「あとから利用したかた」も、自ら利用した結果を情報として、やはりDBに残してもらいたいのです。これを「義務」のように決めることはしないのです。

  4. しかし利用したかたは、「だれかわからないけれども情報を残してくれたかた」のおかげで、なんらか作業をすることができたのだから、なにがしかのメッセージ(たとえばお礼とかアドバイスとか)を残してもいいのではないかと思います。ただこれは「モラル」の問題だと思うのです。そうしたいわばエチケットに属するようなことについて、この団体では、わたしは「啓蒙」のなかに含めて考えたいと思っています。

  5. 利用しっぱなし、というのはいかにも「低いモラル」ですよね。そうしたエンジニア同志の技術情報には可能なかぎりバリアーを設けない、というのが「オープン」の思想、とわたしは理解しています。

  6. それではビジネスは成り立たない、とお考えのかたもおられるかと思います。そこのところが、多分、ポイントであろうかと思います。わたしはそれでもビジネスは成り立つ、と考えています。情報を取りっぱなし、でもできるビジネスはあるでしょう。しかしそれは所詮、自分ではない別のひとの経験の情報です。他人が経験したことで利用できることは、おおむね定量的というか計測可能な情報、つまりはディジタル情報の場合が多いでしょう。しかし、システムは「感性」が重要です。定性的情報は、つまりはアナログ情報は「盗めない」のです。もし他人の経験の情報を入手しようと思ったら、追体験するか、最低でもその経験をしたかたと親密なコミュニケーションをとらないことには不可能なのです。そうすると情報を「黙って」利用することは、結局情報の半面しか利用できていないことになり、結局利用した本人が不自由することになるであろう、とわたしは考えています。

  7. 「ごあいさつ」に書いたオープンソースのDBの利用につい て、初稿では「オープンソースの提供者からコンサルテーションを受けた、じつはこれがキーです。」と書きました。あとで削除したのですが。このことは上述のことを言いたかったのです。オープンソースだからといって、ただダウンロードして「うまく動かせる」なんて考えること自体が「むしがよすぎる」とわたしは思います。開発者あるいは提供者から適切な助言を受け、より完成度の高いシステムを目指す、このとことのほうがずっと健全な考えかたと思います。ちなみに先の例でのコンサルテーションは、0.5人月*2ヶ月といったところです。大きいシステム開発であれば、じゅうぶんペイするでしょう。小さくとも相応の考えは成り立つはずです。

  8. そこで前のメイルで書いた、エンジニアのなんらか善意の集積を期待する、という側面は、会員の「全員」がそのような奉仕をする、というのでもなく、できるひとがする、という精神で行きたいのです。だれも「奉仕」をしたくない、ということであればこの「企て」つまり「協会設立」は失敗でいいと思っています。当社の技術当者責任担は、来年入社予定のインターン(最近は呼ぶらしい)生に実習を兼ねてオープンソースのソフトウェアを探させて、実際にすこしは使ってみてDBに蓄積する、ということをやらせようとしているようです。

  9. あるいはプロジェクトとプロジェクトの合間にできたすこしの時間をそれに充てることもよいでしょう。あるいはしごとの時間を使ってDBへの情報蓄積をするのもよいでしょう。そうした総体を「役務も提供」として、だまっていてもやってくれることを願っているのですが、これは「あまい」と言われてももちろん甘受いたします。しかしだからといって黙っているつもりはありません。会員諸氏には、DB蓄積のための行動を起こすよう「圧力」をかけるつもりでいます。場合によっては「指名」で!!!

以上、今回の問題的を受けてわたしの考えていることをのべさせていただきました。

こうしたことからすると、やはり「門戸を広く開放し」て多くの優秀なエンジニアにご参加いただくことを、最優先に考えたいと思いますが、Oさん、いかがでしょう


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